1分で分かるBIOSとUEFIの違い
IBM PC時代から続いた従来方式。初期化後、ディスク先頭付近の起動コードへ処理を渡します。
現在の標準仕様。専用パーティション上の起動ファイル、GPT、Secure Bootなどを利用できます。
ディスクの区切り方を記録する方式。BIOS/UEFIとは別概念ですが、旧環境ではBIOS+MBR、現在はUEFI+GPTが一般的です。
Intel MacはEFI/UEFI系。Apple Silicon MacはBoot ROM、LLB、iBootを使うApple独自の信頼の連鎖で起動します。
Windowsより先に動くプログラム
BIOSはBasic Input/Output Systemの略です。IBM PCが登場した1981年から、PC互換機の起動を長く支えました。マザーボード上の不揮発性メモリに保存され、電源投入時に実行されます。
起動直後にはPOST(Power-On Self-Test)などでメモリや主要機器を確認します。画面を表示できない故障時に鳴るビープ音も、ファームウェアが異常を知らせる方法の一つです。ただし検査内容や音の意味はメーカーごとに異なります。
LEGACY BIOSBIOS時代に見えてきた限界
初期のPCに適していた仕組みも、64bit CPU、大容量ストレージ、多数の周辺機器が普及すると拡張しにくくなりました。
16bitリアルモードから開始
伝統的なPC BIOSは起動時に互換性重視の環境から動き、現代的なファームウェア設計には制約がありました。
MBRの約2TiB問題
512バイト論理セクターと32bitのセクター番号を使う一般的なMBRでは、約2TiBが上限になります。
基本パーティションは4個
標準的なMBRでは4つまで。拡張パーティションで増やせますが、管理が複雑になります。
拡張方法が統一されにくい
ネットワークや新しい起動デバイスなどを扱うため、より標準化されたドライバー・サービス体系が求められました。
UEFIは何を変えたのか
IntelがEFIを開発し、その後UEFI Forumが仕様を管理するUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)へ発展しました。UEFIはファームウェアとOSの間の標準インターフェースです。「小さなOS」のように見える場合がありますが、WindowsやmacOSの代用品ではありません。
- 起動用ファイルをEFI System Partition(ESP)から読み込める
- GPTによる大容量ディスクと多数のパーティションへ対応
- ファームウェア用ドライバーやアプリを拡張できる
- Secure Bootで起動前コードの署名を検証できる
- メーカー実装によりGUI、マウス、ネットワーク更新などを提供できる
MBRからGPTへ
| 比較項目 | MBR | GPT |
|---|---|---|
| 正式名称 | Master Boot Record | GUID Partition Table |
| 一般的な容量上限 | 約2TiB(512バイト論理セクター時) | 64bit LBA。現行ストレージでは事実上非常に大きい |
| パーティション | 基本4個。拡張領域で追加 | Windowsでは通常最大128個 |
| 管理情報 | ディスク先頭に集中 | 先頭と末尾にヘッダーを持ち、CRCで破損検出 |
| 一般的な起動方式 | Legacy BIOS | UEFI |
GPTの理論上限は論理ブロックサイズなどで変わるため、単純に「必ず9.4ZB」と覚える必要はありません。初心者にとって重要なのは、2TBを超える起動ディスクや現在のWindowsではUEFI+GPTが基本という点です。
Secure BootとTPM 2.0
Secure Boot:起動するコードを確認
Secure BootはUEFIに保存された信頼情報を使い、OSより前に動くブートローダーや一部のファームウェアコードのデジタル署名を検証します。許可されていないコードが早期起動へ入り込むリスクを下げます。
TPM:鍵を守り、起動状態を記録
TPMは暗号鍵の保護や起動状態の測定に使われます。BitLocker、Windows Helloなどのセキュリティ機能と連携します。UEFIが起動経路を管理し、Secure Bootが署名を確認し、TPMが鍵や測定値を支える、という役割分担です。
Windows 11の最小要件はUEFI、Secure Boot対応、TPM 2.0です。「Secure Boot対応」と実際の有効状態は区別されますが、安全性のため通常は有効化が推奨されます。
2026年のSecure Boot証明書更新
2011年発行のMicrosoft Secure Boot証明書は、2026年6月から順次有効期限を迎えます。Microsoftは2023年版証明書をWindows Update経由で展開しています。多くの家庭用PCは自動更新されますが、一部ではメーカーのファームウェア更新が必要です。
「BIOSを開く」は今も間違いではない?
技術的にはUEFIでも、メーカーの説明や会話では「BIOS設定」「BIOSアップデート」という名称が残っています。そのため「BIOSを開く」は通じます。Windowsでは「システム情報」のBIOSモード欄で「UEFI」か「レガシ」かを確認できます。
macOSではどう進化した?
初期MacintoshはIBM PC互換BIOSではなく、ROMにToolboxやQuickDrawなど多くの機能を持っていました。
IEEE 1275系のOpen Firmwareを採用し、デバイスツリーやコマンド環境を利用しました。
2006年以降のIntel MacはEFIを採用。世代やOSによってWindows互換起動の構成も異なりました。T2搭載Intel MacではT2からUEFIファームウェアまで信頼を検証します。
MシリーズMacはBoot ROMからLLB、iBoot、macOSへ進みます。Secure Enclaveが署名したLocalPolicyも使い、OSごとに起動セキュリティ方針を管理します。
| 項目 | 現在のWindows PC | Intel Mac | Apple Silicon Mac |
|---|---|---|---|
| ファームウェア/起動基盤 | UEFI | EFI/UEFI系 | Apple独自 |
| 安全な起動 | UEFI Secure Boot | 世代により異なる。T2搭載機はT2が信頼の起点 | Boot ROM→LLB→iBootの信頼の連鎖 |
| 鍵・セキュリティ機能 | TPM 2.0 | T2搭載機はSecure Enclaveを含む | Secure Enclave |
| ハードウェア | 多数のメーカー構成 | Apple設計+Intel CPU | Apple SoC |
Secure Enclaveを単純に「TPMより上」と順位付けするのは適切ではありません。規格も担当範囲も異なり、どちらも各プラットフォームの鍵保護や安全な起動を支える設計の一部です。
BIOSからUEFIへの年表
PC互換機の基礎となる起動方式が広がる。
ファームウェア更新が一般化する。
従来BIOSを置き換える新しいインターフェースが発展。
複数企業による標準仕様として管理。
大容量ディスクとSecure Boot対応が一般化。
UEFI・Secure Boot対応・TPM 2.0が最小要件に。
2011年版から2023年版Secure Boot証明書への更新が進む。
まとめ:見た目以上の世代交代
BIOSからUEFIへの移行は、青い設定画面がカラフルになっただけではありません。起動ファイルの管理、大容量ディスク、拡張性、署名検証、TPMとの連携を含むPC基盤の世代交代です。
そしてMacは、Intel時代のEFIからApple Silicon独自の起動チェーンへ進みました。WindowsもMacも共通しているのは、OSが動く前から信頼できるコードだけを段階的に起動する方向へ進化していることです。
参考にした公式資料
- UEFI Forum:Specifications
- Microsoft Learn:Windows 11 requirements
- Microsoft Learn:TPM recommendations
- Microsoft Support:Secure Boot証明書の期限
- Apple Platform Security:Apple Silicon Macの起動プロセス
- Apple Platform Security:Intel Macの起動プロセス